about Balafon

バラフォンのこと

by Yoko Sylla


バラフォンとは、ギニア共和国やマリ共和国など西アフリカ一帯で広く演奏されている木琴の一種です。

地域や部族によって形やチューニングなどが異なりますが、ギニアでよくみられるバラフォンは、竹で組まれた枠の上にハリーという名前の木の木片を並べて鍵盤にし、その鍵盤の下に共鳴用のひょうたんをぶら下げています。

 

ギニアのダビットたちの部族では「バラ」と呼びます。

その歴史は大変古く、一説には13世紀頃にはすでに存在していたと言われていますが定かではありません。

見た目は普通の人、バチを持つとすごい人に変身する。
見た目は普通の人、バチを持つとすごい人に変身する。

世襲制の職業音楽家「グリオ(ジェリ)」が演奏する特有の楽器のひとつであり、結婚式やお祭りなどの伝統音楽が演奏される場に登場したりします。

左右の手に1本ずつバチを持ち、木片の鍵盤を叩いて音を出します。

木片の素朴な音はひょうたんに共鳴して、優しい何とも言えない魅力的な音になります。

 

現在ではアフリカンポップスをはじめ、ヒップホップなどのダンスミュージックでも耳にするようになりました。といっても、ジェンベなんかと比べてもさらに知名度は低く、日本でみかけることは少ないと思います。

 

バラフォン数台で演奏したり、ボテやジェンベといったパーカッションと一緒に演奏したり、バレエ団のメンバーだったり、その編成や演奏スタイルはさまざま。地域に伝わる素晴らしい伝統音楽をバラフォニストたちは継承し続けています。

 

さてここからは、わたくしとバラフォンのお話。

わたしが初めてバラフォンに出会ったのは、もうかれこれ10年以上前。来日中のギニア人バラフォニストのライブで初めてその音を聞いた瞬間に即フォーリンラブ♡ 広島のタワレコの半額コーナーで見つけたマリの偉大なバラフォニスト、ケレティギ・ジャバテ氏のCDを聴き倒してましたが、どこでどうやったら本物のバラフォンに出会えるのかわからず、まだまだ遠い存在でした。

その当時はSNSも今ほど普及していなかったし、広島では情報もあまりなくて、バラフォンと接する機会になかなか恵まれなかったのですが、数年後ギニアを初めて訪れた時、幸運にもバラフォニストからレッスンを受けることができ、念願のバラフォンデビューを果たすこととなったのです。

バラフォン裏側。球が並んでるように見えるのがひょうたんです。
バラフォン裏側。球が並んでるように見えるのがひょうたんです。

しかしこのバラフォン、ころころかわいい音色と素朴であったかい見た目に反して、なかなか扱いづらい楽器でして。。

 

まず大きい、重たい。狭い我が家での存在感はドゥンドゥンと並んでなかなかのものです。運ぶ時なんかも、非力なわたしは担いで歩くだけでも一苦労。だいたい目的地に着いた時にはかなり体力を消耗してます。

 

おまけに壊れやすい。特に共鳴用のひょうたんは衝撃に弱く油断すると割れたり欠けたりします。虫も付きます。ひょうたんや竹枠に小さな穴が空き始めたら要注意!

湿気が多い季節は、ひょうたんも鍵盤も湿気を吸収するせいか重たくなって音が悪いです。

バチのヘッドは熱に弱く、直射日光にさらされたりすると溶けてベタベタになります。こうなるともう使い物になりません。

と、まだ他にもバラフォンちゃんとお付き合いしていく上での苦労や悩みはあるのですが、マイナスなことばかり言っても仕方ないし、それを上回るほどの魅力があることも確かです。

 

特にあの音色はもう本当にズルい(笑)

例えばうちの1歳半になる娘が超適当に叩いても、すごい天才かと思うほど心地いいんです。多少親バカ成分が入ってることは認めますが、でもそれ抜きにしてもバラフォンの音色って理屈抜きにそういう風にできてるんです。

ギニアのバラフォンは音階がダイアトニックな物が多いのも、義務教育で西洋音楽教育を受けてたわたしたちには入りやすいポイントかもしれません。ちなみにわたしがメインで使用しているバラフォンは、ピアノの白鍵と同じ並びになってます。コードはCかAマイナー。「ドレミの歌」は楽勝です。かくし芸にいかがでしょう(笑)

 

と、まぁ本気でやるにはなかなかハードルの高い楽器ではありますが、ちょこっとかじりたい、触って音色に癒されたいという方向けに、レンタルバラフォン付きのレッスンもやってます。本格的に継続してやりたい方にはこちらのクラスもあります。